第4話 山本商店 初代、山本仁作 其の壱
ひとつ屋根の下で、ずっと一緒に暮らしていた明治四十年生まれの祖父は、昭和二十年終戦と同時に山本商店を創業しました。現・あきる野市生まれの祖父は、幼少の頃より実家の農業を手伝っていましたが、農家が性に合わず、一日も早く東京の中央に出たかったそうです。元手がなにもかからずに仕事が出来る職業は何かと考え警察官を選びました。勉強家の祖父は当時、日本橋や渋谷の派出所に勤務しながら警察学校に通い、昇格を繰り返していきます。昭和八年、赤坂で勧業銀行に勤めていた祖母と結婚、一男二女に恵まれました。祖母の父は、皇宮警察に勤務していたので、警察官の祖父とはすぐに打ち解けたそうです。その後、特別高等警察(特高)の職につき、共産党や政治犯に対する取り締まりを行います。昭和十一年に突然起こった二.二六事件の時にも、現場で指揮を執り、残された祖母は一歳の叔母を抱いて家まで逃げるように帰ったそうです。
平成二十三年十月二十六日