第7話 山本商店 初代、山本仁作 其の四 古物市場を取り仕切って、古物商の売り買いの仲介役になっていた祖父は、古物の仕事を継いで、徐々に力をつけてきた息子(私の父)に、会主の座を譲り、場所を梅ヶ丘に移します。山本商店では、昭和三十五年頃から、父による試みで、生活骨董の道具の中でも、日本の古い家具、即ち、時代和家具の販売に移行していきました。当時、父が市場関係と、仕入・配達を担当して。祖父と祖母が店番でした。父が仕入れてきたちゃぶ台や本箱を祖父が修理して。ニスをハケで塗っている姿は私が子供の頃、よく目にした光景でした。祖父は、手先が器用で、たいていの壊れた個所はものの見事に修復していました。正に今の営業スタイルがこの頃より培われているのです。頑固で、気の短い決して商売上手とは言えない祖父でしたが、厳格で真面目、几帳面で、コツコツと積み重ねる努力を惜しみませんでした。祖父から学んだことや思い出は山のようにあります。今の私が祖父に心より伝えたい言葉は「ありがとうございました」の一言以外、見つかりません。
平成二十三年十二月十四日